このページでは、GPサイクルのスポーツバイクに関する整備・メンテナンスに対しての姿勢、取り組みについてお伝えします。
スポーツバイクには命が乗る
当たり前のことではあるのですが、たとえ自転車でもスピードを出して事故を起こしたら大怪我をします。
ロードバイクやマウンテンバイクは、ブレーキ一、ホイル、ハンドル、タイヤ、フレームひとつひとつに命を預けているとも言えるのです。
僕もマウンテンバイクの競技者時代が長くあり、全日本選手権に出場するほど熱心にのめりこんでいました。それと同時に大怪我を幾度も経験しています。
肩を三か月で3度脱臼したり、膝関節の靭帯を全て切断したり、今でも膝にはプレートが埋まっていたりします。(自転車が売りにくくなるので、本当はこんなこと書きたくはないのですが。。)
スポーツバイクの楽しさ、大変さ、危険さは競技をとことんやった人間でなければ分からないことがあります。
僕は全て経験しているからこそ、整備の重要性は誰にも増して大切だと実感しています。
大手ショップのアルバイト店員の1000倍は、自転車の安全性、いざというときの信頼性には敏感です。
確実な変速、確実なブレーキング、そんな当たり前を高いレベルで提供しなければ、スポーツバイクの販売はしてはいけないと思っています。
だからこそ、
世界一安心できる一台をお客様にお渡しする
それが僕の信念です。
当たり前のことではあるのですが、確かな自信を持ってこの言葉を口にできるショップの人間は多くないと思います。
GPサイクルでバイクを買ったら安心、安全。そして楽しくバイクに乗れる。そんなサイクルショップを目指しています。
でも、根が小心者なので、お客様にお渡しするバイクに不備があったらと思うと、怖くて怖くて、本当に夜も眠れなくなります。(秘密ですが、あまりのストレスで嘔吐したことさえあります。。)
ですから、当たり前のことかもしれませんが、整備ミスが起こるといけないので、接客しながらの組み立ては絶対に行いません。整備に集中できる時間を作って、作業を行うと決めています。
特に、最近はディスクブレーキ車が多いので、ブレーキオイルには一粒も気泡が入らないように細心の注意を払い、どんなに忙しくても、どんなにお客様に急がされても、数日かけて組み立てを行います。
最高の安全を確保するためには使うべき時間と労力だと思っています。
気泡が一粒くらい残っていても自転車は止まるのですが、ブレーキのフィーリングに大きな差が生まれます。それはいざというときの0.1秒、0.01秒に違いをもたらすと考えているからです。
大手自動車メーカーのエンジニアの方にも、「ディスクブレーキ車の整備は後閑に任せる」とまで言っていただけるようになりました。嬉しいかぎりです。
でも、小心者なので、
ボルト一つ締めるのに、僕は最低3回確認します。
一度バイクを組んだら、すべてのボルトの締付トルクの確認、ブレーキの利き具合、変速性能のチェック、傷がないかどうか、注文された通りの仕様になっているかどうかなどを、くまなく確認ます。
でも、これだけでは不安なので、納車の前日にもう一度同じ確認をします。
それでも不安は消えません。なので納車日にもう一度同じ点検をします。
これくらいやって、ようやく安心してお客様に納車することができます。それくらい小心者なのです。
この確認を行うようになったのは、これまでの失敗があったからなのですが、3回のチェックを行った自転車で、納車後に整備不良による不具合が出たことはありません。
あなたの命が乗る乗り物を販売している。そう思って日々バイクを組み、調整を行っています。
当たり前のレベルを上げることで、僕は夜眠れるようになりましたし、お客様には安心して自転車に乗っていただくことができるようになりました。
原因を究明する
自転車の変速性能がいまいち、ブレーキのフィーリングが甘い、音鳴りがする。こんな時、適当なバイクショップの店員は、あまりお金にならない面倒な客に対して、不具合の原因を丁寧に説明しない人が意外と多くいます。
自転車屋も商売ですから、車体やホイールを販売したほうが、楽に大きく儲かります。しかも自分が整備した自転車の不備を指摘されて、ミスをすぐに認めたくはないものです。人間ですからそういう気持ちも分かります。
でも僕は、できるだけ原因を丁寧に説明しています。
なぜなら、物事には原因が必ずあると思っているからです。
その原因を究明して説明し、お客様に納得してもらい、そのうえで整備やパーツを提供する。
そうすることで、お客様に納得感を持っていただき、僕も責任をもってメンテナンスを行うことができます。
何よりも、
自分に楽な選択よりも自分に正直な選択をしたい
これが僕の思考の根底にいつもあります。
必ず問題を分析し、これまでの膨大な経験に照らし合わせて、自分なりの答えを、理由を添えてお客様にお伝えします。
スポーツバイクに乗って20年、自転車屋で整備の仕事を始めて12年。これまでに2000台以上のスポーツバイクの組み立て・整備を行ってきました。
実業団で活躍されるトップレベルのレーサーの方、プロとしてレースを戦う選手、多くのお客様からの情報として、私の頭の中には膨大な量の最新データがストックされています。
幸い記憶力は良いほうなので、これらの経験と知識を総動員すると、たいていの問題は「秒」で答えを出すことができます。
もちろん外れることもありますが、すぐに次の仮説を立てて新たな答えを導き出すことができるようになっています。
だから、ご来店いただいた時は何なりと質問してください。どんなに忙しくても丁寧にご説明します。(いや、本当に忙しいと無理ですが。その時はお赦しを。。)
誰が組み立て・整備したかでライドフィーリングは大きく変わる
正直、GPサイクルで売っているバイクは他のお店でも買うことができます。工業製品ですから、ある一定の品質をクリアした製品をメーカーは出荷します。同じ商品であれば、どのバイクも見た目は同じです。
しかし、乗った本人にしかわかりませんが、誰が組み立てたか、誰が整備を行ったかによって、明らかにライドフィーリングは変わります。
そのバイクを組み立て、整備し、安全にコントロールできるようにするためには、組み立ての経験や技術のほかにメカニックとしての人間性までが現れてきます。
「後閑が組んだバイクは乗り味が違う」これはお客様から言われたことがあるので、あくまでも自画自賛ではありません。
もちろん自慢したい部分ではありますが、現実問題として、乗り味は組み立てと整備によって変わります。もちろん安全性も。
だからこそ、ロードバイクやマウンテンバイクを買うときは、お店の規模や見た目ではなく、どんな人間が整備を行っているのかを見てください。(うちのお店が小さくて、とても豪華とは言えないから、そんなお店が羨ましいと言うわけではないですよ。ないですよ。)
神は細部に宿ると言うそうです。僕もできるだけ細部にこだわり、自分が乗るならこんな人に自転車を組んでもらいたい、と思える理想のメカニックを目指しています。
信頼できるメカニックの見分け方
そこで、スポーツバイクの組み立て・整備を任せるのに信頼できるメカニックなのかどうかを見分ける方法を紹介します。(ほとんどスピードを出さない乗り方をする場合は、この限りではありません。)
①メカニックにスポーツバイクの競技歴があるか
バイクの限界性能を引き出したことのある人間にしか分からないことがあります。そして、どれだけリスクのあるスポーツなのかを体験的に知っているかどうか。ここが非常に重要だと個人的には思います。
ただのサイクリング用のロードバイクならこの条件は必要ありません。限界性能なんて使う場面がありませんから。
でも、レースに出たり、自分の限界に挑戦したりしてみたい、あるいは100Kmを超えるようなライドを、安全に行いたいという場合は、この条件は必須かと思います。
メカニック本人は気づいていないかもしれませんが、メンテナンスをするときの目の付け所、真剣度合いに、天と地の違いが生まれます。冒頭にも書いた、「命を預かっているという感覚」があるかどうかの違いと言っても良いかもしれません。
②整備・組み立て・機材選びの工程にすべて意味を持たせているか
これは聞いても教えてくれないかもしれませんが、できれば聞いてみてください。
レースをやる方、仲間とロングライドをしたい方、ヒルクライムをとにかく早く走りたい方。様々な人がいて、様々な要望を持っています。
要望をもとに、バイクに乗る人の経験値、これから目指している方向、体の形、足の大きさ、長さ、体重、乗車姿勢、あらゆる情報を総合して、その人に合った整備・調整・機材の選定を行っています。
僕はオイルひとつ、サドルの角度ひとつ、ボルトの締め方ひとつ、バーテープの巻き方に至るまで、全てに意味を持たせています。
なぜサドルはその角度なのか、なぜクリートの位置はここなのか、なぜオイルはその種類を選んだのか、なぜこのパーツは使ってはいけないのか、なぜステムの長さはこれなのか。
明確な答えを理由を添えて、即座に答えてくれるメカニックを探してください。
③あなたのこだわりを大切にしてくれるか
僕はそのバイクに乗るお客様がどんな、サイクリストを目指しているのかをとても大事にしています。
こだわりって、人それぞれが持つ大切なものだと思うのです。
他の人からすれば他愛のないことでも、その人にとっては大切なことがある。そこを大切にしてくれつつ、最大限整備に反映させてくれるか、というのはとても重要な要素です。
お気に入りのバイクに乗る。
それって、速く走るよりも大切な事だったりします。なぜなら、速く走るためにはお気に入りのバイクである必要があるとも言えるからです。
気に入らない部分のあるバイクでは、モチベーションが下がってしまい、バイクに乗る回数、時間まで減ってしまったりするものです。
もちろん、安全性に不安が出るような要望はお断りしています。ただ、その場合も必ず理由を提示して納得してもらいます。納得いただけない場合は、バイクの販売や整備を行いません。
以上が、メカニックの選び方です。
最後に
まるでGPサイクルで整備をしろと言っているかのような内容になってしまいましたが、僕が思う理想像を書いたらこうなってしまいました(汗)。ごめんなさい。
もちろん違う基準を持つメカニックもいますし、スポーツバイクでないなら、こんなことは言いません。あくまでも競技者として長年取り組んできた経験をもとに、お客様の立場に立ったら、こんなメカニックじゃないと嫌だな。と僕が思う最高のメカニックの姿を紹介したものです。自分も常にそうあれるように頑張らなければならないと思える理想の姿です。
ぜひ参考にしてみてください。
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